2000年代に展開した「震災復興まちづくり訓練」の実施特性と訓練効果の考察-ポスト東日本大震災期の事前復興対策を考えるための基礎的検証
東日本大震災をうけて東京都は、2012年4月に新しい地震被害想定を公表し、都民のニーズに応えるべく、震災対策の見直しを進めている。都市防災分野においても、阪神・淡路大震災以降の取り組みを検証し、見直しを図っていく必要があろう。 本研究では、都市防災対策の1つとして位置づけられる事前復興まちづくりについて、その中心的な試みである「震災復興まちづくり訓練」に焦点をあて、東京都全体で36地区にのぼっていること、実施地区の特性について考察したのち、8地区を対象に、復興訓練プログラムの特性および参加者意識調査をもとに比較分析をおこなった。復興訓練をとおして復興期における地域の役割と取り組みについてのイメージ形成が図られ、復興訓練後に行政と専門家で震災復興マニュアルや地域防災訓練への反映といった、復興訓練から、事前復興まちづくりへの展開がなされていることを示した上で、ポスト東日本大震災期への課題と展望について論じた。