日本は災害大国である。これまで地震・津波、台風・豪雨、火山噴火などの幾多の自然災害に見舞われて、多くの尊い人命が失われてきた。甚大な被害をもたらした東日本大震災は、その発生から9年目を迎えても、全国の避難者数は依然多数に上り、復興に向けたまちづくりや住宅再建は道半ばの状況にある。その後も、激しい揺れが連続した熊本地震、大都市部を襲った大阪北部地震、大規模な土砂災害と停電をもたらした北海道胆振東部地震など、大規模な地震が頻発している。
一方、南海トラフ地震の 30 年以内の発生確率は「70~80%」に上昇し首都直下地震等も含め、刻一刻と国難レベルの巨大地震の発生が迫っている。こうした国難レベルの巨大災害が発生すれば、被災地は壊滅的な被害を受けることが想定され、復旧復興の困難さは計り知れないものがある。また、これからの日本は、大幅な人口減少が見込まれており、こうした中で巨大災害により甚大な被害が及べば、被災した地域では、衰退が加速し、地域そのものが消滅する事態の発生も危惧されるところである。
国難レベルの巨大災害を見据え、発生は止められなくても、被災の影響を最小限に抑え、より良い復興に向けて迅速に取り組めるよう、従前の防災・減災の取組に加え、事前復興の取組が必要である。
これらを踏まえ、全国知事会として、未だ確立していない事前復興の考え方を整理し、国や自治体で共有し、取組の促進を図るため、本報告をとりまとめた。