事前復興計画のススメ ─この国の明日を紡ぐ
日本は災害大国である。近年、主要活断層の活動確率や想定地震の被害想定など、ある程度、算出することが可能になってきた。だが、被害を完全に防げる技術は、いまだにない。ならば、被災したとき、あわてないように準備しておくことは至極、当然のことのように思える。
ところが、自治体の動きは、一部を除いて鈍いのが実情だ。現に 2004 年、新潟県中越地震が起きたとき、新潟の自治体は、阪神・淡路大震災を経験した兵庫県に復興のノウハウを学んだ。07 年、能登半島地震が起きた際に石川県や輪島市は、その知恵を新潟県や長岡市に求めた。発災してから修羅場で対応していては試行錯誤も少なくない。担当職員や被災者の焦慮感も並大抵ではないだろう。防災や応急対応に熱心な行政が、どうして知恵と教訓の集積である事前復興には目を向けないのだろうか。その理由を明らかにし、事前復興計画の普及を進めることこそ災害多発時代の今、急務であることを強く提唱していきたい。それは災害をキーワードに、それぞれの地域が抱える脆弱性を見つけ、地域という足下から明日の日本を紡ぎ出す作業でもあるからだ。
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