東日本大震災における津波被災集落の漁業実態変容と復興課題
2011年3月11日に発生した東日本大震災により大きな被害を受けた三陸沿岸部の津波被災漁業集落では、震災から5年が経過し、まちの復興と並行して漁業の復旧・復興が進められてきた一方で、漁業経営の悪化や高齢化等、震災以前から抱える課題に直面している。また、漁船の管理や繁忙期の従事のしやすさから、従来、職住一体の生業であった漁業において、居住地の高台移転等にともなう職住分離により、漁港から離れた場所に住み、車で通い、漁業に従事する、通勤型の新たな従事形態への変化を強いられている集落が多い。
本研究では、岩手・宮城県の被災沿岸全27市町村・96漁業地区を対象とし、各自治体の漁業集落の職住空間の整備方針、震災前後の漁業経営体や就業者等の漁業生産条件の変容、震災後の職住分離による通勤型の新たな従事実態と復興課題を明らかにし、今後の被災漁業集落の復興に関する知見を得ることを目的とする。
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