宇和海沿岸地域の事前復興デザインのための情報プラットフォームの構築
2011 年 3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震は、東北 4 県と関東 2 県の太平洋沿岸地域に未曽有の津波被害をもたらした。それから 7 年の時間が経過し、これらの地域では道路、港湾といったインフラの復旧はある程度は進んだものの、未だ多くの方々が仮設住宅等での生活を強いられるという現実が今も続いている。
このような復興の困難さが露呈する中で、その教訓を今後の巨大災害への備えとして生かすために、「事前復興」の取り組みが始まっている。そのような今後の巨大災害の一つとして、四国地方においては、100 年から 150 年の周期で 繰り返し発生する南海トラフ地震(以下、「南海地震」という)の襲来が数十年後に迫っている。フィリピン海プレートが沈み込む海溝部に発生する南海地震は、東日本大震災と同様に巨大津波災害を引き起こす可能性が想定される。その中で愛媛県の宇和海沿岸地域においては最大で 20m を越える津波高さの到達が予測され 3、早急な対策が求められている。
そのような背景から、津波リスクの高い宇和海沿岸地域において、災害時の避難・復旧・復興に多くの課題を有している地域特性をふまえ、来る南海トラフ巨大地震の防災・減災と被災からの復興に備えるために「宇和海沿岸地域南海トラフ地震事前復興デザイン共同研究」。本文には、本研究において進めている事前復興の基礎となる「情報プラットフォーム」の構築について、その必要性と構築上の課題、活用内容など、現在までの開発状況を報告する。
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