この論説は、東京を中心に展開されてきた「事前復興まちづくり」を短期・中期・長期のフェーズに区切って考察するものである。
事前復興まちづくりは「長期間を要する大災害後の生活再建、なりわい回復、まちの復興にしなやかに速やかに(Resilient)対応する主体を形成し、大災害を最強の状態で迎えるため、事前から具体の多重防災まちづくりを進めること」と表現 される。そのための手立てとして、地方自治体・地域組織・専門家が協働で「震災復興まちづくり訓練」に取り組み、その成果とし て次の 6 点が指摘されている。
[1]避難生活・仮住まい・生活再建といった長期スパンでの災害想像力をつける。地域特性に応じて個別具体に。
[2]共有した災害像に基づき「大地震後の復興課題」を明らかにする。
[3]避難生活以降の復興の体制と手順をつくる(地域復興の布陣と手順)。
[4]想定される復旧復興課題を解決するための方針図をつくり、編集しておく。
[5]復興まちづくり訓練後の、地域防災活動に活かす(大地震への備えを多重化する)。
[6]専門家とのネットワークをつくる。