持続の危ぶまれる地域での住民主体による事前復興まちづくり計画の立案初動期の課題と対策
東日本大震災から2年が経過したが、沿岸被災地では未だ更地が広がり、本格的なまちの復興は所々で高台の造 成などの工事が始まっている程度である 。その一方で、復興が遅れるほどに、被災地からは人口流出が進み、被災前と同じまちに住む希望者は減少し、存続の危機にあるまちもある。
このような復興の遅延の原因として、極めて大規模で広域にわたる被害の発生をはじめ、多様な要因が指摘されているが、その一つに「予め大規模な災害が予測されている地域においては、予防対策の推進と合わせ想定される被害に対応して事前に復興対策の基本方針や体制・手順・手法などをまとめた計画を作成しておく」という「事前復興計画」への取り組みが不十分であったことも指摘できる。わが国の沿岸域には、人口減少、少子、高齢化、過疎、産業不振といった地域の持続に問題を抱える地域が点在している。さらに、西日本の沿岸域では、南海トラフ の巨大地震が発生すれば、地震発生後短時間で巨大津波に襲われ、地域が壊滅するほどの被害想定がなされている。
このような地域では、防災・減災対策といった喫緊の課題に加えて、地域における生活を維持し、さらには地域を次世代に継承するといった視点も重要であり、災害への備えを考える防災計画、事前復興計画を進める上でも、地域の活力を持続、継承する施策と防災施策の融合を計ることが望まれていると考えられる。
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