東日本大震災により被災した地方公共団体においては、地域の実情等に対応した長期の 復興計画を策定し、復旧・復興施策を進めることとしている。その計画の策定に当たっては、 各被災地方公共団体において、学識経験者による検討会の設置、住民集会の開催など多 様な取組が行われている。 これらの取組は、今後の災害発生時に地方公共団体における復興計画の検討に当たっ て有益な先行事例となるものであることから、本調査において、復興計画を収集・分析し、今 後の活用に資するよう分類・整理する。
東日本大震災により大きな被害を受けた特定被災地方公共団体(9 県、178 市町村)、特 定被災区域(222 市町村)のいずれかに含まれる地方公共団体(9 県、227 市町村)の復興計 画の策定の状況について、復興本部(現・復興庁)による復興計画の策定状況調査の結果 及び今回実施したアンケート調査の結果から把握し、整理を行った。 アンケート調査は、復興本部調査において「復興計画を策定していないし、今後策定する 予定もない」とされた市町村を除いた 109市町村、及び特定被災地方公共団体である 9 県に 対して郵送配布、郵送回収を行った。8 県、78 市町村から回答があり、回収率は 73%であっ た。復興本部調査の結果と合わせると、復興計画策定の進捗状況については 92%の地方公 共団体について把握することが出来た。
対象とした地方公共団体の復興計画策定の状況をみると、「策定しない」が 62%で最も多 く、「策定済み」は 29%となっている。現在策定作業中が 4%、今後策定予定が 2%存在して おり、これらは福島第一原発事故の影響が大きい福島県内の市町村が含まれている。
被害が特に甚大であった岩手県、宮城県、福島県に着目すると、岩手県、宮城県の太平 洋沿岸部の市町村は、全て復興計画を策定している。一方、福島県については、福島第一 原発の事故により、全域あるいはほぼ全域が警戒区域に指定された浪江町、双葉町、大熊 町、富岡町、楢葉町では未だ復興計画が策定されておらず、福島第一原発事故によって避 難を強いられた市町の復興計画の策定が遅れていることが分かる。
復興計画が策定された地方公共団体は、津波の被害を受けた沿岸部の団体の比率が高 いが、59 市町村のうち 21 市町村は、内陸部に立地している。岩手県では、復興計画を策定 した団体は全て沿岸部であり、宮城県では復興計画を策定した 19 団体のうち 4 団体だけが 内陸部に立地しているが、放射性物資による被害をうけた福島県では、復興計画を策定した 18 団体のうち内陸部に立地する団体が 13 と過半を占めており、他県と異なった傾向がみら れる。
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