復興まちづくりについて考える啓発ツールとしてのボードゲームの効果 ―事前復興ワークショップ参加者の追跡調査を通して―
近年、国土交通省や都府県からの事前復興計画策定を推進するためのガイドラインの公表が相次いでいる。しかし、まだ行政主導による計画策定が多く、住民 参加によるボトムアップ型の計画策定は極限られた地域でしか確認できないのが現状である。また、事前復興が進まない理由としては、不確実性、事前復興の定義と制度の問題、計画技術論が指摘されている。
このような背景から本研究は災害前から住民自らが人口減少やハザードについて正しく理解し、対策案を構築するワークショップ(以下「WS」と略す)を実施することで、ボトムアップ型の復興まちづくりが進み、地域レジリエンスの強化に資することを目標とする。
そこで、筆者らは和歌山県由良町小引区の人口と資源を利用して地域の将来が想像できる啓発ツール「ゲーム でわかる小引の将来:南海トラフ地震に備えて事前復興」(以下「ゲーム」と略す)を開発した。本ツールはボードゲーム形式となっており、個人(世帯)の生活再建の プロセスだけでなく、地域の再建の状況も復興指標を通して疑似体験できるのが特徴である。 本研究は新規開発したゲームの啓発ツールとしての有用性や課題を検討することをその目的とする。具体的には、住民 WS を開催し、ゲーム直前、ゲーム直後、時間経過後における参加者の地域の現実(人口・災害等)に関する理解や啓発ツールとしての効果を計測・分析する。
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