【被災自治体向け】東日本大震災の被災地における 復興まちづくりの進め方 (合意形成ガイダンス)
東日本大震災において甚大な被害を受けた太平洋沿岸部の市町村の多くは既に復興計画の策定を完了し、同計画に基づく各種復興事業の実施に向けた取組みが進められている。各市町村が 策定した復興計画の中では、多数の津波被災地区を対象として、防災集団移転促進事業(以下「防 集事業」という。)や災害公営住宅整備事業等を活用した高台等の安全な地区への集団移転の実 施や土地区画整理事業、市街地再開発事業等(以下「区画整理事業等」という。)による市街地 の面整備が掲げられている。集団移転は被災者にこれまでの生活の場からの転出を求めるもので あり、市街地の面整備は被災者の資産の形質を変更するものであるため、いずれもその実現のためには関係被災者の合意形成が不可欠であることは言うまでもない。このため復興の舵取りを託 された首長やこれに準ずる行政責任者が自ら被災者との協議の場に臨み、必要に応じてコンサル タント等による技術的支援を活用しながら、被災地の復興に対する被災者の理解と協力を得るた めに努力することが何より重要である。
また、復興計画に描かれた復興まちづくりの構想を具体化していくには、これからの人口動態 や高齢化等のまちづくりに影響を及ぼす要因を的確に把握するとともに、復興後の都市経営コス ト等も勘案して適切な事業計画を立案することが重要である。さらに、復興に要する費用は長期 に亘って広く国民に負担を求めるものであることや、都市活動に伴う環境負荷の低減等の新たな 課題も踏まえ、徒に過大な計画とすることなく、実現可能でコンパクトな計画を被災者との協議 を通じて作り上げていくことが何よりも重要である。
被災者の合意形成を図りながら復興に向けた現実的な事業計画を作り上げていく手続きに決 まった方法があるわけではないが、集団移転や市街地の面整備による復興事業を円滑かつ早急に 実施する観点から、被災者の合意形成を図っていくためのモデル的なプロセスを設定し、事業主 体である市町村が各ステップで留意すべきこととして、現時点において想定されることをまとめ たので参考にされたい。